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自筆証書遺言



自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、全文、日付、署名のすべてを自筆で書き、それに押印して作成された遺言書のことをいいます。

用紙にペンと印鑑があれば、時と場所を選ばずに作成することができるので、労力と費用が最もかからず、手軽に作成できる遺言書です。

ただし、手軽に作成できる代わりに、法律によりその様式(書き方)が厳格に決められており、これに従わなければ、また少しでもミスがあれば、遺言は残念ながら無効となってしまいます。
紛失や偽造、変造、隠避(隠すこと)される可能性が高いというデメリットもあります。

自筆証書遺言は、手軽に作成できますが、このようにそれゆえの短所もありますので、遺言を自筆証書遺言で作成する際は、これら短所のリスクをふまえて、作成するようにしてください。

以下長所と短所をくわしく記載しています。




自筆証書遺言の長所

費用がほとんどかからない
用紙、ペン、印鑑があれば作成できるので、これらがあれば他に費用はかからない。


時と場所を選ばず自分一人で作成できる
公証役場などに行く必要がなく、自分一人でいつでもどこでも作成できるので、労力がかからない。


証人が必要ない
他の遺言に比べ、証人が必要ないのでその依頼料がかからない。
また遺言書の内容が証人からもれることがない。


遺言の存在、またその内容を秘密にできる
自分一人で作成できるので、遺言を作成したことが秘密にできるうえ、その内容がもれる心配もない。




自筆証書遺言の短所

書き方に不備があれば、遺言が無効になることがある
法律でその書き方が厳格に決められており、これに従わなければ、また少しでもミスがあれば無効になってしまうことがある。


自分で保管しなければならない
紛失しないように、自分で保管するか、貸し金庫などの保管場所を確保する必要がある。


紛失・変造・隠匿(隠すこと)される、などの可能性がある
遺言の存在を誰にも伝えてなければ、存在をも秘密にできるが、死後に発見されない、また発見した人に変造・隠避(隠すこと)される可能性もある。


死後に、家庭裁判所での検認・開封手続きが必要になる
下記「検認・開封手続き」で説明しています。




自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言は、法律でその書き方が厳格に決められており、これに従わなければ、また少しでもミスがあれば無効になってしまうことがあります。

以下その書き方となります。

1 .  文章はすべて自筆によること
自筆証書遺言の全文は、自筆によらなければなりません。

ですので、だれかの代筆によるものや、パソコン・ワープロなどで作られたものは無効となります。
また遺言は書面によらなければならないので、テープ・MD・ICレコーダーやビデオテープによる録音・録画によるものも無効です。

もしけがや病気で、自筆による作成が難しい場合は、公正証書遺言など他の方法で遺言をすることになります。


2 .  作成した日付を正確に記載すること
作成した年月日の記載がなければ無効となります。
作成年月日は、作成時に遺言能力があるか、複数の遺言書があればどちらが後に書かれたか、などを判断するために必要となるからです。

使用する文字は、西暦と元号(平成など)、アラビア数字(3など)と漢数字(三など)、はどちらでもかまいません。


3 .  署名すること
戸籍上の正しい性名で署名しましょう。

「誰であるかを判別でき、他人と混同するおそれがなければ、名のみでもよい」との判例もありますが、後日トラブルになる可能性がありますので、正確な姓名での署名をおすすめします。


4 .  押印すること
署名だけでなく、押印も必ず必要となります。
押印する印鑑は、認印や三文判でもかまいませんが、後日のトラブル回避のために、これもやはり実印での押印をおすすめします。

また遺言書が複数枚になった場合は、一枚目と二枚目、二枚目と三枚目、などのとじ目に同じ印鑑で押印します。


5 .  タイトルについて
タイトルは必ず必要というわけではありませんが、遺言書であることがわかりやすいように、「遺言書」または「遺言状」などにしておきましょう。


6 .  内容(本文)について
「誰に、何を、どれだけ、相続(遺贈)させるのか」をわかりやすく明確に記載します。
確実に特定できるように、不動産であれば不動産登記簿(登記事項証明書)にある地番や家屋番号など、銀行口座の預金であれば「〇銀行○支店の口座番号〇〇名義人〇〇のうち100万円」などと、具体的に記載することをおすすめします。


7 .  訂正について
遺言書を訂正、加入、削除するときの方法は、法律で規定されています。
この方法に沿わなければ、その訂正などは無効となりますし、後日に変造したのではないか、と疑われかねません。

・削除、訂正は、原文が判別できるように二本線で消し、
      正しい文言を記入する。
・変更した部分に押印する。(署名押印の印鑑と同じ物で)
・遺言書の末尾に訂正した旨を付記し、署名する。

このように複雑な方法での訂正が必要となりますので、訂正するときは新たに書き直したほうが安心です。


8 .  封印について
封印とは、完成した遺言書を封筒にいれ、のりづけなどで封をした上から押印することをいいます。
必ず必要というわけではありませんが、偽造や変造されにくいように封印されることをおすすめします。


9 .  用紙・筆記用具について
遺言書に使用する用紙に制限はありませんが、自筆証書遺言はもしものときに検認・開封手続きを経なければならず、このときに実物大のコピーをとる必要があります。ですのでA4サイズの用紙を使用すれば、この手続きが容易になります。

筆記用具にも制限はありませんが、偽造・変造されにくいように、黒又は青色の油性ボールペンで自筆しましょう。




遺留分とは

遺言で指定すれば、誰に何をどれだけ相続(遺贈)させるかは、原則として遺言者(遺言を行う人)の自由で、制限はありません

しかしすべてを慈善事業団体に遺贈するとすれば、法定相続人(配偶者、子ども、父母、など)はその後の生活に困ることになりかねません。ですので兄弟姉妹を除いた、法定相続人である配偶者、子どもについては、遺言で相続させない旨があっても、法律で法定相続分の半分を相続できると規定されています。(相続人が、父母など直系尊属のみの場合は1/3)
これを遺留分といいます。

例えば法定相続人以外の人にすべてを相続させ、法定相続人には相続させない旨の遺言したとします。この遺言は原則として有効となり、法定相続人が遺言に納得して、遺留分を請求しなければ、遺言の内容どおりに遺贈されます。
しかし法定相続人が遺留分を侵害されたとして請求すれば、法律の規定により遺留分の財産を渡さなければなりません。
この遺留分の請求により、大きなトラブルになることが、実際にとても多いのです。

遺言を作成するときは、後日のトラブルを防ぐために、遺留分について十分考慮するようにしましょう。




遺言執行者

遺言執行者とは、遺言の内容を実現させる(これを遺言の執行といいます)ために、選任された人のことをいいます。残された財産の目録を作成して相続人に交付する、また遺言の指示どおりに、財産を分割して分配する、不動産の名義を相続人に変更する、などを行います。

なお遺言執行者を指定する場合は、必ず遺言で行う必要があります。

遺言で、遺言執行者が指定されていなければ、相続人が遺言執行者の代わりに、遺言の執行を行うことができます。また必要があれば、家庭裁判所で遺言執行者の選任を求めることもできます。

しかし、遺言の執行には、法律的な専門知識が必要となることが多くなりますし、相続人の利害関係が相反するときは、その当事者である相続人が遺言の執行を行うと、トラブルになり手続が進まないというケースを多数目にします。

ですので遺言を作成するときは、第三者の立場から遺言の実現に必要な手続を公平に実行してくれる人、つまり相続にまったく利害関係のない人、または弁護士・行政書士などの専門家を、遺言執行者に指定されることをおすすめします。

以下をクリックすると、くわしい説明を記載したページへと移ります。


→  遺言執行者のくわしい説明はこちらへ





検認・開封手続き

遺言した人にもしもの時があったときは、その遺言書(公正証書遺言を除く)を保管している人、または発見した人は、遺言書を家庭裁判所に提出し、検認の手続きを請求しなければなりません。

そして遺言書に封印(封がしてあり、それに押印がある)があれば、相続人または代理人の立会いのもと、家庭裁判所で開封する必要があります。

この検認と開封の手続きは、「遺言書が存在することを明確にする」、「遺言書の形状や、訂正などの状態、日付・署名など遺言書の内容を確認し、(手続きの後で)遺言書が偽造・変造されるのを防ぐ」、「遺言書があることを、他の相続人や利害関係人に知らせる」などの目的のための手続きとなります。

公正証書以外の遺言書は、必ずこの検認・開封手続きを受けなければなりません。
もし検認を受けずに遺言を執行したり、勝手に遺言書を開封すれば、過料が処せられます。また、故意に遺言書を隠していたときは、相続権を失い相続できなくなることがあります。

なお開封は、検認の手続きの過程の一つとして行なわれることがほとんでですので、開封の申立ては特には必要ありません。家庭裁判所は、期日を定めて相続人に呼出状を出し、検認と開封の告知をするのが一般的です。

このように、公正証書以外の遺言書は、残された家族にめんどうな手間をかけてしまうことになります。
自筆証書遺言は手軽に作成できますが、その代わりにデメリットも多いので、遺言書を作成されるときは、公正証書遺言による作成を検討されることをおすすめします。


→  公正証書遺言のくわしい説明はこちらへ





ご自身だけで自筆証書遺言を作成される方へ

自筆証書遺言は、ご自身で作成することができます。

自筆証書遺言についてのプロである、弁護士・行政書士の手助けを借りなくても、遺言の要点を押さえ、法律で規定された書き方に沿えば、法律上有効な自筆証書遺言を独力で作成することができます。また市販のひな形を使用しても同じことです。

ただその際は、書き方と記載する内容に、細心の注意を払い、作成するようにしてください。

自筆証書遺言は、法律でその書き方が厳格に決められており、これに従わなければ、また少しでもミスがあれば無効になってしまうことがあります。
また、遺言の内容に関しても、法律上実現できる内容でなければ、無効になってしまうこともあります。

自筆証書遺言は、自分一人で作成できるという性質上、書き方に誤りがないか、内容が遺言として有効なのか、などを第三者に確認してもらう機会がありません。
またひな形は、すべての事例をカバーしているわけではありませんので、そのまま流用すれば意志にそぐわない遺言書になってしまう、重要な項目を書き漏らしてしまう、などの危険性もあります。

自筆証書遺言を作成する場合は、専門家である弁護士、行政書士に、完成したその遺言書に問題がないか、法律的に有効な遺言書であるのかを、一度チェックしてもらったほうが安心です。





自筆証書遺言の原案作成を承ります

ご自身だけで自筆証書遺言を作成されるのが不安な方は、当事務所でも自筆証書遺言の原案作成を承っております。

自筆証書遺言について専門家である行政書士が、お客様の家族関係と状況をくわしくお聞きして、お客様の代わりにオーダーメイドで遺言書の原案を作成します。
法律で決められた書き方により、遺留分を考慮し、遺言として有効である内容で、原案を作成しますので安心していただけます。

作成した原案にご了承いただければ、お客様はその原案を自筆で書き写し押印するだけで、自筆証書遺言が完成します。
完成しましたら、遺言が法律的に無効となることがないように、書き方、押印の位置などを、もちろんもういちどチェックさせていただきます。


料金は45,000円となります。
(非常に複雑な内容は除かせていただきます。)


なお遺言書作成の際に、戸籍謄本、住民票、不動産の登記簿謄本、財産調査などが必要となり、これらを当事務所にご依頼される場合は、別途料金がかかります。

もちろんご相談いただいた内容は、行政書士法第12条に基づき、守秘義務を厳守いたしますので、外部に漏洩することはありません。安心してご依頼ください。


→ お問い合わせ、ご依頼はこちらへ〜ご相談は無料です〜





独力で作成された自筆証書遺言のチェックを承ります

ご自身だけで作成された自筆証書遺言の、書き方に間違いがないか、内容に法律的な問題がないか、有効な遺言であるのか、とご不安な方は、当事務所でも自筆証書遺言のチェックを承っております。

自筆証書遺言作成サポートの専門家である行政書士が、作成された自筆証書遺言に、書き方と内容に法律的な問題がないか、有効な遺言であるのか、遺留分を侵害してはいないか、などを徹底的にチェックして、もし問題がありましたら、その部分の訂正案を提案いたします。

再度自筆証書遺言を作成されましたら、遺言が法律的に無効となることがないように、書き方、押印の位置などを、もちろんもういちどチェックさせていただきます。


料金は25,000円となります。
(非常に複雑な内容は除かせていただきます。)


なお遺言書作成の際に、戸籍謄本、住民票、不動産の登記簿謄本、財産調査などが必要となり、これらを当事務所にご依頼される場合は、別途料金がかかります。

もちろんご相談いただいた内容は、行政書士法第12条に基づき、守秘義務を厳守いたしますので、外部に漏洩することはありません。安心してご依頼ください。


→ お問い合わせ、ご依頼はこちらへ〜ご相談は無料です〜





自筆証書遺言については愛知県全域、日本全国のお客様への対応が可能です

当事務所は愛知県半田市にありますが、自筆証書遺言については全国にお住まいの方への対応が可能です。

直接お会いできない場合は、お電話・Fax・メール・お問い合わせフォームでお話をくわしくお聞きし、お会いして作成した遺言書と同じクオリティの遺言書を作成いたします。

ご依頼いただいた場合は、メールで原案を送付し、その後お客様にチェックしていただき、問題がなければ速達にて郵送いたします。

お客様が遺言書を作成されましたら、郵送またはFaxにて、最終的なチェックももちろんさせていただきます。